円安分析 その1
円安がどこまで進行するか?いつまで続くか?予測してみた(1)
為替相場における原理原則
「悪い円安」という見方が大半を占める現在の円安相場。
一方、日銀の黒田総裁は、「若干の円安」との認識でさらなる円安が進行するか否かに対する危機感が増しています。
そもそも、円安が急激に進むと必ずといっていいほど利上げをしろ!といった風潮になりますが、
マクロ経済的視点で見た場合、
円安に対して直ちに利上げをする国策は、為替相場における原理原則からは外れた愚策となり、国内の景気がさらに悪化の一途を辿ることは経済学や歴史が既に証明しています。
よく為替の動きを捉える時には、アメリカと日本との金利の差で見る風潮が昔からありますが、
1.日米の金融政策の中身
2.日米のマネタリーベース(お金の動き)
で為替の動きを大まかに捉えることが為替相場における原理原則です。
・マネタリーベースを増やしているのが「金融緩和策」
・マネタリーベースを増やさないのが「金融引き締め策」
です。
前述の1と2は、連動していて、
日米のマネタリーベースの差は、金融政策の中身で差が開くということです。
金融政策の差は、為替の差(値動き)となって表れてきます。
日米の金融政策
それでは、両国の金融政策の差を見ていきましょう!
<日本>
ゼロ金利政策を維持する。(長期金利を0.25以上上げない)
→「金融緩和策」
<アメリカ>
インフレ中なので長期金利を引き上げる。
→「金融引き締め策」
ちなみに、日本は相変わらず金融緩和策を継続しており現状、インフレには決してなりません。
理由は、総供給(570兆円)に対して総需要(530兆前後)がいつまで経っても上回らないからです。
カンタンにいえば、モノ余りでモノの価値が上がらないということです。
いつまで円安が続くのか?
少し話はそれましたが結局、円安がいつまで続くのか?その大局を見るには、
「円ドルと日米マネタリーベース比」の推移を見るのが一番です。
かの有名な「ソロスチャート」でざっくり円安トレンドを把握することが大切です。
では、実際にどこまで円安が進むのか?はどのように把握すればいいでしょうか?
実はカンタンな方法があります。
計算式は以下の通りです。
円の総量÷ドルの総量=為替レート
仮の数値を当てはめてみると…
500兆(円の総量)÷4兆(ドルの総量)=125円
です。
実際には、以下を前提とした場合、
★マネタリーベース=流通通貨に準備金の残高を加えたものに等しくなる
・ドルのマネタリーベースは6兆1,000億円(2022年1月時点)
・円のマネタリーベースは、663兆1,000億円(2022年1月時点)
なので110円です。
2022年1月の為替相場が一時113円までドルが低下したことを考えると、前述の計算式の信ぴょう性がうかがえます。
つまり、本来、正しい相場は、110円のはずが一時116円まで上昇したということです。(2022年1月の為替相場)
では、取得できる最新のデータで3月の正しい相場に換算すると、
・ドルのマネタリーベースは6兆400億円(まだデータが公表されていないため、2月のデータを参照→6兆400億円)
・円のマネタリーベースは、688兆9000億円(2022年3月時点)
なので114円です。
2022年4月19日時点で128円のため、14円も円安が進行していることを意味しています。
この考え方がマネタリーベースで見る為替相場の原理原則です。
どこまで円安が進むのか?
レートの折り返し地点を知るには
・日銀の金融緩和策に動き(方針の転換又は微調整)が見られる
・アメリカのの利上げペースが落ちる
のような兆しが見えた時点が円安の天上といえるでしょう。
あなたは、円安がいつまで続き、円安の天井はどのくらいだと予測しますか?
ちなみに、アメリカが金融緩和策を講じて日本が金融引き締め策を講じた場合、100%円高に振れます。
為替相場とは、つまるところ二国間のお金の総量がどう動くかで決まるということです。
日米の金融政策に注目すると、
・円安トレンドがいつまで続くのか?
・円高に転機する兆し
が肌感覚で身に付きます。
短期トレードをやめて大局観(2~3年)で日米の金融政策をウォッチしていきましょう!
この考え方が打率を上げる唯一の方法です。為替相場における打席を増やす行為(短期トレード)は単なるギャンブルです。