「狙ってバブル前に種をまく」研究シリーズ(1)
次に起こるバブルを徹底的に考察してみた
投資や新規ビジネスを立ち上げる際は、必ず「リサーチ」が必要です。
そのリサーチの中核を占めるのが、「データ」です。
そのデータには、「ソフトデータ」と「ハードデータ」がある。
「ハードデータ」は、主に行政などの権威組織が発行する確実性の高いデータを示します。
そのハードデータの中で最も確実に”社会の変化”を捉えることができるデータが『人口動態データ』です。
未来を先回りするためには、社会を創る人口の推移から推察を行い、中長期的に(時には短期的に)どのような経済活動の上昇を予見できるか?
を探っていく必要があります。
より高度な統計学と言っていい人口動態データを用いて次に発生するバブルを考察していきたいと思います。
経済に大きな影響を与える人口の変化
データを読み解く視点は、2つあり、「ミクロ」と「マクロ」です。
ミクロ経済は、日々変動する金融市場の価格変化から読み解くことができ、マクロ経済は、年齢を含めて世界の人口推移から読み解くことができます。
”木を見て森を見ず”
の通り、全体的にどのように移り変わっているのか?の大局観を持つことがデータ分析には不可欠です。
特に経済は、人の活動によってもたらされるため、「人」がどのように変化していくるか?を知ることが結果である日々の金融市場の価格に表れてきます。
単純に人口の増減データをトレースするのではなく、人口構成といった質的な変化、つまり「人口動態」をトレースすることで経済にどのように影響を与え、バブル的な投資チャンス(ビジネスチャンスを含む)の兆しを掴むことができるのかに重心を置くことで未開拓のチャンスに予め参入し、ファーストムーバーアドバンテージ(先行者利益)を獲得していくことを目指します。
加えて、マクロ的な視点で予測される全体的な流れが必ずしもミクロ的な視点で投資やビジネスの苗床に結び付く訳ではないことが統計学視点の難題ともいえますが、多角的に人口動態を捉えることで明確な投資対象(産業が地域など)を具体的に提示できれば大きなチャンスとなります。
それでは、未知なるフロンティアを夢見てひとつひとつチャンスの芽を探っていきましょう!
経済成長率
経済成長率とは、経済の規模を示すGDP(国内総生産)の成長率のことで、「実質経済成長率」と「名目経済成長率」があります。
いずれも各国の政府が四半期ごとに4回発表していますが、注視するのは、「実質経済成長率」です。
なぜなら、「実質経済成長率」こそが実体経済を正確に捉えている指標だからです。
「実質経済成長率」の方程式は、以下の通りです。
「実質経済成長率」=人口増加率+一人あたりの経済成長率
人口増加率は、1年前と比べてどのくらい人口が増えたか?であり、
一人あたりの経済成長率は、GDPを人口で割ったものです。
つまり、
1.人口が増えている
2.一人あたりの経済成長率が高まっている
のいずれかに該当する国や地域、あるいは、今後、該当しそうな企業や産業に着目して投資を検討することが大切であるということです。
生産年齢人口
日本の人口は、2010年に減少へ転じていますが世界人口は増え続けています。
国連の推計によると2050年前後に83億人をピークに世界人口も減少へ転じると予測されています。
これはあなたが、現在40歳の場合、この先30年間、ずっと世界人口が増え続けることを意味しています。
ただし、闇雲に人口が増えれば経済が潤う訳ではなく、重要な指標は、「生産年齢人口比率」です。
生産活動に従事する人々が増えれば、モノやサービスが生まれ、同時に消費も増える。いわゆる「現役世代」を表すのが「生産年齢人口比率」です。
生産年齢人口は、15~64歳の人口を指します。
生産年齢人口は、投資対象となる前述の以下の指標の内、「2」に大きな影響を与えます。
1.人口が増えている
2.一人あたりの経済成長率が高まっている
そこで、各国の生産年齢人口の状況を確認しておきましょう!
∟日本は、1992年にピークアウト
∟フィンランド・ベルギー・ドイツ・フランス・オランダ・イタリア・デンマークは、1990年代にピークアウト
∟欧州全体(イギリスやスイスを含む)は、2008年にピークアウト
∟アメリカは、2008年にピークアウト
∟オーストラリア、カナダは、2008年にピークアウト
∟中国は、2010年にピークアウト
∟シンガポール、韓国、タイ、ベトナム、マレーシアは、2010年代にピークアウト
∟ブラジルは、2020年にピークアウト
アラブ首長国連邦やサウジアアラビアは、2030年代のピークアウトが予想され、
アルゼンチンは、2034年のピークアウトが予想され、
エジプトや南アフリカは、2040年代のピークアウトが予想され、
南アジアは、2040年以降まで上昇すると予想されています。
これら生産年齢人口が増える地域において、労働者の生産性が向上することで「2.」の”一人あたりの経済成長率が高まり”バブル発生の原動力になると考えられます。
さらに具体的な国とピークアウトの時期を整理して向こう25年の間でバブル発生国を絞り出してみます!
<投資対象となりえる有望国の生産年齢人口のピーク年>
・[アジア]
2026年:インドネシア
2029年:ミャンマー
2032年:バングラディッシュ
2040年:インド
2044年:カンボジア
2045年:ラオス
2047年:パキスタン
・[中東・アフリカ]
2033年:アラブ首長国連邦
2034年:サウジアアラビア
2041年:エジプト
2044年:南アフリカ
2056年:エチオピア
評論家の間では今後、残されたフロンティアは、海底と宇宙を除けば「東アジアとアフリカ大陸」と言われて久しいですが、正確には「南アジアと南アフリカ」です。
多消費年齢人口比率
多消費年齢人口とは、30代後半から50代前半の年代を指す指標であり、生産年齢人口の中で消費が活発な年齢層です。
人生最大の買い物である「マイホーム」は、自身の収入を超える支出を借金で賄う、いわば「過剰消費世代」がこの年齢層にあたります。消費に対して”背伸び”をする年齢層ともいえます。
この事実だけでも、不動産業界や消費者金融業界は、直ちに多消費年齢人口比率が高い国に販路を広げるべきことがわかるはずです。
無論、この世代の人口比率が高ければ一人あたりの経済成長率も高まります。
ちなみに日本の場合、多消費年齢人口比率は1991年にピークアウトしており、欧米は、2008年にピークアウトしています。
つまり、前述の<投資対象となりえる有望国の生産年齢人口のピーク年>で記載した各国の多消費年齢人口比率を調べれば次に到来するバブル発生の国が特定できる訳です。
2030年までに
生産年齢人口比率と多消費年齢人口比率の両方が高まる国とは、一体どこだと思いますか?
・インド
・バングラディッシュ
・パキスタン
・インドネシア
・エチオピア
です。
バブルの金脈は不確実性
パラいダムシフトというイノベーションは、国内の「不安定性」からもたらされるかもしれません。
不安定性とは、まさに不確実性のことでバブルが起きる4つの条件の第一項に当てはまります。
<バブルを起きる4つの条件>
1.不確実性
最も重要なことが「不確実性」です。
どうなるかわからない不確実な面が大きければ大きいほどバブルを生みだす原動力になります。
・技術的に実用されるのか?
・規制に網をくぐり抜けられるのか?
・特許の関係でローチンが無事にされるのか?
・永続的なビジネスモデルなのか?
など、不確定要素が高いことがバブル発生の第一条件です。
2.直接投資の窓口が開かれている
「1.」に対して直接的に投資ができるか否かが重要です。
例えば、EV車がバブルの種だとした場合、トヨタ株に投資をしてもEV事業に投資したことにはなりません。
このようなものは一般投資家にとって実りのあるバブルには成り得ません。
3.ナラティブ(物語)を通した思い込み
現代の問題点や強い不協和に対して解決に糸口となる分かりやすい技術、エポックメイキング(旧態依然から革新的な新世界につながる)な出来事は人々を惹きつけます。
4.投資初心者
過去の苦い経験、例えば株式が暴落して大損した記憶などの前例的な失敗(負の)イメージがなく、初心者が群がることが第四番目のピースです。
世界各国で国内情勢の不安定化を深刻にする最大の要因は、可処分所得の差です。
・インド
・パキスタン
・インドネシア
などは、経済格差によって大衆の不満が高ぶっています。
このような国や地域に不満を解決する革新的なイノベーションが生まれるかもしれません。
国内情勢の不安定化は、国際的な社会問題に発展しやすい昨今の世界情勢を鑑みると内向的な(国内的な)負のニーズを外交的な(外資企業が)解決するサービスが生み出される可能性も高まります。
つまり、内需を取り込む外資勢力への投資に大きなチャンスが潜んでいるということです。
イノベーションのヒント
“必要は発明の母である”のコトバの通り、ニーズ(必要性)が高まり、ウォンツ(欲しい!)が付加された段階でイノベーションが生まれます。
これを前提にどの領域でイノベーションが起き、一人あたりの経済成長率が高まり、バブルが生じるのか?について1つの領域について触れたいと思います。
「食」領域
前述で示した内容の通り「バブル」や「経済発展」などの右肩上がりで成長する際のエンジンになり得るのは、「不安定化」であり「不確実性」です。
気候変動が叫ばれる中、食糧需給の問題は新興国の発展に伴い先進国でも大きな問題に発展する不確実性と不安定化をもたらします。
日本では昨今の円安により食料品の価格が高騰していますが、今後、世界における食糧需給の問題に発展した時、どのようなニーズが生まれるのかに焦点を当てることが重要です。
食糧には、カロリーを摂取するための「食の量」とより健康を意識した「食の質」に分けられます。
南アジアと南アフリカでは、食の量がニーズであり、先進国では食の質がニーズとなります。
しかし、イノベーションにおける食のニーズは、量と質の両方を満たす必要があります。なぜなら、人の空腹を満たすには量と質の両方が必要だからです。
つまり、一方のセグメントにバイアスしたものではなく、全てのセグメントをターゲットにできるからこそイノベーションが起き、続くのです。
ビットコインなどの仮想通貨のようにドル建ての資本経済圏側の既得権益が脅かされるようなイノベーションは淘汰されてしまう訳です。
全てのセグメントをターゲットにした食とは、たんぱく質中心の食生活である。
農耕がはじまる前の世界では、たんぱく質が中心の食生活を送っていた人類は、今は米や小麦などの炭水化物を中心とした食生活に変貌を遂げています。
さらに第二次世界大戦後は、穀物イノベーションが起き、カロリーが高い糖質を含む食品を安価に手にすることができるようになりました。
私たちは、穀物を原料にした加工品(精製炭水化物)やカロリーが高い糖質を含む食品に囲まれ、これらの食生活が健康を害し、癌や糖尿病へのリスクを高めています。
先進国に住む人々の健康的な食イノベーションを起こすことは、同時に新興国も含めた人類の健康を下支えすることにつながります。
故に、精製炭水化物(加工品)や精製砂糖が含まれていない食品に対するニーズは全世界にあるということです。
食の量と質を満たすイノベーション(事業創生)を
・インド
・パキスタン
・インドネシア
で起こす、あるいは、これらの地域に食イノベーションで参入する企業に投資するアプローチは、これらの地域以外の先進国の人々のニーズも同時に満たす可能性があります。
あなたなら、上記の国々でどのような変化が起きることを推察し、事前に種をまいて収穫していきたいですか?