利は仕入れにあり。商いの成功も仕入れにあり。
スギ薬局の中期事業計画から商いで成功する秘訣を解説してみた
あなたの街にも必ずある「スギ薬局」
激戦のドラックストアに調剤薬局を併設した店舗ということもあり、大して儲かっていないイメージをもたれる方も多いと思いますが…
1976年創業の老舗であり、売上高はなんと6,000億円を超えている大企業であることをご存じでしたか?
グループ合計の店舗数は、1,400店舗を超えます。
本日は、スギ薬局から学ぶ儲けのヒントについて解説していきます。
スギ薬局とは
まず、「スギ薬局」と聞いて、あなたはどのような印象を持たれますか?
実際に足を運んで買い物をしたことがある方も多いと思いますが…
良くも悪くもドラックストアですよね?
実は、スギ薬局というのは、健康予防から未病改善、在宅医療までほぼ全ての世代の疾患に対応した「トータルヘルスケア」をリアルとデジタルの両方で実践するビジネスモデルだったりします。
デジタル分野では、歩数計アプリの「スギサポwalk」や食事管理の「スギサポeats」、情報連携と服薬提案を行う「クラウド型セレコン・電子薬歴一体型システム」を運用しています。
ターゲット層を限定しないマーケティング思想とデジタル社会のニーズをとらえた先進的な取り組みで売上を伸ばし続けています。
もともと、薬剤師の夫婦が
・医薬品
・健康食品
・化粧品
・日用品
の取り扱いと処方箋調剤を行う「かかりつけ薬局」というコンセプトで地域住民の健康医療を支える役割としてビジネスを興しました。
実は、起業当時は、ドラックストアに調剤薬局が併設する店舗は珍しかったそうです。
創業から16年で1000店舗を突破。
買収や資本提携など攻めの経営姿勢も見せ、全4業態を持ち、約6,000億円の売上に達しています。内訳は、
・調剤:22%
・ヘルスケア:21%
・ビューティー:21%
:ホーム:18%
・フーズ:17%
です。この内訳を見て、あなたは何を思いましたか?
ライフタイムバリューの考え方
ドラックストア市場の規模は、約7兆円です。
スギ薬局のシェアは、約6,000億円で6.7%の市場シェアを獲得しています。
このシェアに満足している訳ではなく、スギ薬局の中期計画としての成長戦略は、
1.セルフケア領域
2.医療・服薬領域
3.介護、生活支援領域
にセパレートして計画されており、
各領域でリアルとデジタルを融合することで最適な商品やサービスを提供するための「トータルヘルスケア戦略」を描いています。
つまり、
Aの顧客の美容、健康維持、予防、未病の改善に役立つアプリや商品を扱い、Aの顧客が年を取ったフェーズでは介護、医療サービスを提供する
といったライフタイムバリューを意識した戦略設計になっています。
加えて、ノーンターゲットであることが加わり、店舗の来店する見込み客の属性は、広範にわたります。
要は、儲けるためには、ターゲットを絞ってはいけないということです。
代わりにニーズに応える商品やサービスを拡張させることで”全ての人の来店動機”を生み出している。
それが、4桁億円を超える売上規模の正体です。
品揃えの妙技
もし、あなたが自社で商品を開発し、販売するメーカー的な事業を展開している場合、(あるいはメーカーから商品を仕入れて販売する代理店や小売店の場合)
LTV(ライフタイムバリュー)で商品の品ぞろえをしてみてください。例えば、次のようなイメージです。
①20代前半の女性に必要なもの→20代後半の女性に必要なもの→30代前半の女性に必要なもの→30後半の女性に必要なもの→40代前半の女性に必要なもの→40代後半の女性に必要なもの→50代前半の女性に必要なもの→50代後半の女性に必要なもの→60代以降の女性に必要なもの
②20代前半の男性に必要なもの→20代後半の男性に必要なもの→30代前半の男性に必要なもの→30後半の男性に必要なもの→40代前半の男性に必要なもの→40代後半の男性に必要なもの→50代前半の男性に必要なもの→50代後半の男性に必要なもの→60代以降の男性に必要なもの
①と②を合わせたら18セグメントです。
1セグメントで売れ筋TOP5を揃えてみてください。
90商品(90SKU)が必要になりますが、確実に誰にでもニーズがある品揃え豊富なお店になることは間違いありません。
つまり、儲かる商売とは、ニーズがある商品を陳列すること。
極めてシンプルですが、多くの人ができないことです。
あなたなら、どのような商品をどのような理由で仕入れ、あるいは陳列することで売上を上げていきたいですか?