円安分析 その2

円安分析 その2

円安がどこまで進行するか?いつまで続くか?予測してみた(2)

マネタリーベースで考える正しい相場

2015年の国際経常収支は、黒字額が前年の6.3倍の16兆6,413億円を記録し、5年ぶりの高水準になりました。
対外投資の配当などの収入が過去最大を更新したことや訪日客の増加で旅行収支が53年ぶりの黒字に転じたことなどが理由です。

この時のレートは、『125円』です。

2022年は、コロナ後のインバウンド需要の再起と輸出企業(主に大企業)の収益改善を目的とした円安基調が続くと予測しています。

<年別の月中最高値(ドル円)>
2014年 8月→104.19
2014年 9月→109.45
2014年10月→109.76
2014年11月→118.23
2014年12月→121.58



2015年 6月→125.49★


2016年 3月→113.96


2016年 8月→103.18

それでは、前回の記事の通り日米のマネタリーベースの差を見ていきましょう!

対象月は、2015年の6月です。

・ドルのマネタリーベースは3兆9,000億円(2015年6月)
・円のマネタリーベースは、313兆1,000億円(2015年6月)

均等相場は、80円です。

2015年6月時点で125円のため、45円も円安が進行していることを意味しています。

このデータを前提に前回の記事の通り2022年4月の日米のマネタリーベースの差を見ていきましょう!

・ドルのマネタリーベースは6兆400億円(2022年2月)
・円のマネタリーベースは、688兆9000億円(2022年2月)

なので114円です。

2022年4月20日時点で128円のため、14円も円安が進行していることを意味しています。

2015年は、円安が45円進行した
2022年は、円安が14円進行した(4月20日現在)

続けて1998年8月も見てみましょう!

<1998年8月>
・ドルのマネタリーベースは55兆7000億円(2022年2月)
・円のマネタリーベースは、5000億円

均等相場は、110円です。

1998年8月時点で146円のため、46円も円安が進行していることを意味しています。

まとめると…

・1998年8月時点で146円のため、46円も円安が進行していることを意味しています。(均等価格:110円)
・2015年6月時点で125円のため、45円も円安が進行していることを意味しています。(均等価格: 80円)
・2022年4月時点で128円のため、14円も円安が進行していることを意味しています。(均等価格:114円)

2022年4月現在の均等価格は、1998年と似ています。
一方、円安は1998年と比べて進んでいません。

日銀の黒田総裁の「若干の円安」という言葉はこのあたりに真意があるのではないでしょうか?

1998年は、「日本列島総不況」といわれデフレの温床となった年です。
2015年は、日本の経常収支が高水準となった年です。

均等価格から大きくかい離すると日本の経常収支が上がるということです。

つまり、2022年4月時点の均等価格(114円)から最大で+31円円安が進行する可能性があるかもしれません。

円安のゴール

その場合、円安の天上は、159~160円となります。

このレートは、1990年4月の水準です。(バブル崩壊の1年前でありバブルのピーク期)

岸田政権が掲げる新しい資本主義とは、「バブル経済期のトレース」かもしれません。

現在のアメリカは、インフレが続いているため、日米協調介入に踏み入るまで時間がかかるかもしれません。
(アメリカのインフレによる長期金利の上昇による円安が現状の円安基調の原因です)

そうなると、ドル円130円も見えてきます。

いずれにしても円安による大企業の輸出拡大とインバウンドによる観光業の復権には円安基調が必要です。

円安基調によるデフレ脱却が実現可能な円安時代の到来が日本の「失われた20年」に終止符をうつかもしれません。

あなたはどう考えますか?

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