新エコシステムの世界
サブスクモデルの先を行く次世代モデルを考察してみた
サブスクサービスの加速
小売り企業のビジネスモデルは、商品を作って(又は仕入れて)売るモデルです。
しかし、このモデルは成熟期を迎えており、単純に商品を売るだけでは儲かりづらくなってきています。
これに加えて昨今のウクライナショックや原材料の高騰、円安のトリプルパンチにより益々、利益が出づらい構造に悩まされているのが小売り企業の実態です。
そこで、各商品カテゴリにおいてもサブスクリプションが続々と導入され、LTV(ライフタイムバリュー)を高めて利益を出しやすい構造に転換する動きが加速しています。
中小零細企業においてもサブスクを導入し、現在は様々な種類のサービスが登場しています。
さらに大手企業になると、サブスクモデルの先を見据えた取り組みが既に始まっています。
循環型経済とは
それは、製品ライフサイクルを伸ばしていく仕組みでサーキュラーエコノミー(循環型経済)と呼ばれる取り組みです。
従来型の売り切り販売をやめて、
・製品寿命の延命
・使用済み製品の回収
・回収製品の資源化及び収益化
の3つの流れで環境と利益構造を整えていく取り組みです。
リニアエコノミーとサーキュラーエコノミー
具体的に見ていきましょう!
小売りのビジネスには、商品が欠かせません。
商品を作るのは、製造業に役割です。
製造業と小売業を含めた構造をわかりやすく示すと
「原料→生産→販売→消費→廃棄」
となります。この構造をリニアエコノミーと呼びますが、サーキュラーエコノミーは次のような構造になります。
「原料→生産→販売→消費→回収→リサイクル→新たな原料(資源化)→生産→販売」
つまり、モノを循環させることによって継続的な利益構造を作り出す取り組みといえます。
具体例を見ていきましょう!
自動車のタイヤは世界で毎年10億本が耐用年数を終えて処分されている事実をご存じですか?
廃タイヤのリサイクル率は90%以上と言われていますが、リサイクル用途の約6割は、石油や石炭の代替燃料として工場などで燃やされているため、環境にも悪く循環型でエコな取り組みとは言えません。
理想的なサーキュラーエコノミーは、回収された廃タイヤに樹脂素材を加え、3Dプリンターの原料とした上で3Dプリンターにより新しいタイヤを作る取り組みです。
このタイヤは、耐久性を高める研究も同時にされており「パンクしないタイヤ」となります。
実際に実用化に向けて着々と進んでおり、既存の廃タイヤを回収しつつ、回収した原資でパンクしないタイヤをサブスクリプションで販売することを目指します。
これこそが、サーキュラーエコノミーが描く理想的な姿です。
アパレル業界でも同じような取り組みが進んでいます。
スマートステッチという新素材により作られた服は、150度、170度、190度のいずれかの溶解温度をもった特殊な素材です。
不要になったスマートステッチが採用された服を消費者から回収し、溶解し、新たに下着として生産・販売を行います。
このように今後は、どのような業界においても品質が高くて長期的に使える循環型の製品開発に必要になってくると思われます。
あなたの会社は、どのようなエコシステムで採算性を高める取り組みを実施していますか?