1年で40兆弱稼いだ機関投資家の話と日本株の魅力
機関投資家の運用手法から日本株と日本企業の可能性について考察してみた
GPIFの投資手法
GPIF(年金管理運用独立行政法人)、いわゆる公的年金を運用する組織です。
2020年の運用収支は、37兆7,986億円です。(運用総額は、186兆1,624億円)
運用額が大きいため、収支も大きくなるのは当然ですが、注目すべきは、この年の収益率です。
なんと25.15%です。
ちなみに20年間の運用利回りは、3.61%です。
この機関投資家のポートフォリオから学ぶべきことは、
基本ポートフォリオを組んでおり、主要アセットに対して以下の通りシンプルにリスク分散している点です。
・国内債券25%
・外国債券25%
・国内株式25%
・外国株式25%
運用成績は、全体で25.15%であり、アセット別は以下の通りです。
・国内債券⇒-0.68%
・外国債券⇒+7.06%
・国内株式⇒+41.55%
・外国株式⇒+59.42%
運用手法の特徴は、
・長期投資(50~100年スパンで収支判断をする)
・インデックス投資(日経平均など市場の株価指数に連動する資産に投資する)
・インカクゲインは再投資(複利運用)
・定期的なリバランス(前述の通り4つの主要アセットを基本的は守る)
・オルタナティブ投資(全体の5%まで。インフラ投資や非上場株、不動産など)
⇒利回りは高いが流動性が高いため、全体の5%程度。
このような運用手法は、特別、難しい訳ではなく誰でも真似できそうです。
ハーバード大学基金の投資手法
同じようにハーバード大学基金のポートフォリオも見てきましょう!
運用総額は6兆円です。
ちなみに20年間の運用利回りは、約10%です。(GPIFの3倍強)
ハーバード大学基金も立派な機関投資家のひとつです。
具体的なポートフォリオの内容は以下の通りです。
・上場株式⇒14%
・非上場株式⇒34%
・ヘッジファンド⇒33%
・不動産⇒5%
・天然資源⇒1%
・インフレ連動債⇒4%
・その他現物資産⇒1%
・現金及び現金同等物⇒8%
プラスのリターンは、
・上場株式⇒50%(14%の投資に対して)
・非上場株式⇒77%(34%の投資に対して)
・不動産⇒13%(5%の投資に対して)
GPIFとハーバード大学基金の共通したポートフォリオの特徴は、
・株式(国内と国外)
・非上場株式への投資
に投資している点です。
特に個人投資家レベルでは、非上場株式への投資が難しい点がポイントです。
つまり、個人投資家が本当の意味で富豪になるには…
プライベートバンクでの運用をはじめなければいけないということです。
預金残高で5億円以上ある方は、是非、プライベートバンクの選定に進んでみてください。
日本株のすすめ
上場株を中心に独自にポートフォリオを組みたい場合におすすめするのが「日本株」です。
日本株のメリットは、
・税制面で有利
⇒米国株の場合、現地税10%+国内課税20%、約28%が引かれしまいますが日本株の場合、20%しか税金が引かれません。
・相対的に安く買える
⇒米国株の場合、割高の株が多いが日本の場合、相対的に割安の株が多い傾向にある
・素晴らしい企業がたくさんある
⇒日本には世界に知られていない素晴らしい大企業がたくさんある
それでは、個人的におすすめする株を見ていきましょう!
先に用語の解説から。
※PERとは、割安度を示す指標で15倍以下なら割安と判断。
※ROEとは、自己資本を使って売上を生み出した指標。つまり、稼ぐ力。8%以上が目安。
・INPEX
エネルギー関連の国策企業
→PER6.6倍
→ROE6.7倍
⇒昨今の原油価格の高騰でROEが悪化している模様。
・花王
トイレタリー業界で日本首位の企業
→PER23.3倍
→ROE11.2倍
⇒コロナショックの影響を受ける。
・アステラス製薬
海外売上比率80%を超えるグローバル企業
→PER18.9倍
→ROE8.5倍
⇒コロナショックの影響を受ける。
・コマツ
建設機器メーカー世界2位の企業
→PER12.5倍
→ROE10.1倍
⇒コロナショックの影響を受ける。
・クボタ
農業機器メーカー世界3位。アジア1位の企業
→PER15.0倍
→ROE9.9倍
⇒コロナショックの影響を受ける。
・伊藤忠商事
日本7大総合商社のひとつで生活消費財関連の非資源分野に特化した企業
→PER8.3倍
→ROE19.5倍
⇒2022年3月期の利益は過去最高。
・三井物産
伊藤忠商事と違い資源分野に特化した企業
→PER5.9倍
→ROE16.3倍
⇒コロナショックの影響を受ける。
・日本取引所グループ
東京証券取引所、大阪取引所、東京商品取引所等を運営する取引所グループで日本で最も潰れる可能性が究極の独占企業
→PER25.2倍
→ROE15.8倍
⇒業績連動型の利回りのため、低利回り
・東京海上ホールディングス
日本3大損保のひとつで日本、米国、ヨーロッパに展開する企業
→PER12.5倍
→ROE10.5倍
⇒コロナショックの影響を受ける。
この中で特におすすめな銘柄(企業)は、どれだと思いますか?
それは、商社株であり伊藤忠商事です。
商社とは、ザックリ言えば世界規模で売りたい人と買いたい人をマッチングさせる輸出入の首根っこを押さえるモノのインフラ事業のようなものです。
伊藤忠商事の場合、世界63ヶ国でこのマッチングを行っています。
特に非資源分野、つまり生活消費財(8割)に軸足を置いた景気に大きく左右されない安定的な事業セグメントを主体としています。
さらに、日本で初めて中国に進出した企業でもあり、中国及びタイにおける最大のコングロマリット企業と資本提携を進め、アジア経済圏を射程に入れています。
今後の世界経済の中心は、東アジアです。
投資も事業もアジアを起点に非消費財を輸出入していく視点が極めて重要です。
あなたは、アジアでどのような投資やビジネスをしてみたいですか?