売れ筋商品の作り方
売れるために何に取り組むべきか?について考察してみた
真空マッケットとはで触れたように商売で大切なことは、顧客志向にどれだけ近づけるかにかかっています。
本日のテーマは、セブンイレブンの躍進の奇跡にトレースして見えてくる「売れるカラクリ」について解説していきます。
トヨタ自動車
今からおよそ70年前、一介の織機メーカーが自動車産業に新規参入し、50年余かけ日本一の会社に成長しました。
今やGMやフォードなどの名だたるグローバル企業と肩を並べ、グローバリゼーションの荒波と新興国メーカーの追従を受けて立つ立場になっています。
連結純利益が1兆円の大企業の代表格。
この躍進の屋台骨が”トヨタのカイゼン”と呼ばれる「トヨタ生産方式」です。
今や自動車産業の枠を超えて世界中のメーカー企業に採用されています。
この世界一と称される生産方式の他に日本にはもうひとつ世界一と称される販売方式があるのをご存じですか?
それは、セブンイレブンの”タンピンカンリ”と呼ばれる販売管理方式です。
自社の流儀
小売業界で一般的に用いられている販売管理方式は、「単品(商品)毎にデータを分析する手法」ですが、セブンイレブンが生み出した方式は、「店の品揃えを限りなくお客さまの要望に近づける手法」です。
実はこの手法、中小零細の小売企業が大手企業と競り合うための大きな武器になります。
具体的には極めてシンプルで
1.売れない商品は棚から外す
2.空いた棚に新しい商品を入れて様子を見る
3.売れている商品の棚を増やす
たったこれだけです。
よくある錯覚ですが…
店主は、魅力的な品揃えで欲しいと感じる商品で埋まっている売り場だと思っていてもお客さんにとっては、欲しい商品が欠品している売り場だと感じていたりします。
このギャップを埋めるために上記の通り3つのカイゼンをひたすら繰り返すことで自然と欲しい商品の在庫がある売り場へと変貌します。
セブンイレブンの躍進はここから始まったといわれています。
その後、小分け配送を実現し、売れない理由ではなくなぜ●個売れたのか?という「売れた理由」への探求が続き、狙って●個売り切る売り場作りとバックオフィスの文化が形成されていきます。
この企業文化が創業以来31年間、年間成長率で4%を切ったことは一度もなく毎年、成長する原動力となっています。
つまり、
・どういう手順で何個発注することが適切なのか?
・どういう商品を品揃えするべきなのか?
など商品管理全般における自社の”流儀”が国内小売のNo.1企業に押し上げたといっても過言ではありません。
セブンイレブンの強みは、
仮説を立てた上でなぜ●個発注するのか?その根拠を最重要視して改善を繰り返す点です。
さらに仕事の進め方として
・お客さまの意見やデータなどの事実に基づく
・発注個数を売りきったら愚直にもっと売れないかと挑戦する
・取り扱う商品を徹底的に理解してPOPなどを使いお客さまに伝える
のような従業員が育つ社内文化が根付いています。
たった一つの商品やカテゴリーをとことん売る経験を「狭く深く」追求していくと、先入観の質が高まり、限界のバーの高さは低くなります。
つまり、目標が高くなるわけですから、結果も凄いものになるわけです。
ネットビジネスに応用
ネットビジネスに”タンピンカンリ”の販売管理方式を転用する場合、
以下の前提を踏まえることが大切です。
1.商品を変えなければ売上は上がらない
2.商品の変え方は、死に筋を排除して売れ筋を品揃えする
3.さらにいえば売れ筋よりも価値ある商品で満たす
4.お客さまの関心は常に商品である
5.つまり最大の問題は、商品の問題である
6.故に必死で商品を吟味しなければ売上は上がらない
7.その商品を●個発注する「動機」を導くために時間をかける
8.結果的に扱う商品は単品管理化していく
9.そしてお客さまはいずれその商品に飽きるので商品の改廃をする
例えば、育毛専門の通販ショップの場合…
・世の中で売れている売れ筋の育毛商品だけを取り扱う
→既知の商品名で検索されて集客できる
・まだ世に出回っていない新商品をラインナップする
→もっと効果が得られるかもしれないという価値と飽きをカバーできる
・各商品について他のショップよりも詳しく解説する
→お客さまの最大の関心事は、その商品を使うことで得られるベネフィットである
商品がもつベネフィットは、どのショップで買っても同じベネフィットが得られます。
商品が同じなら同じベネフィットが得られるのは同然のため、価格が安いショップで購入されます。
このようなお客さまの購買行動があるからこそ、多くの中小企業の売上が上がらずに苦しむ結果になってしまいます。
この状況をどう打開するのか?について世間では
・魅力的なライティングをしてセールスする
・メルマガに登録させて教育してからバックエンド商品を売る
・動画や漫画を採用したクリエイティブで訴求する
などの「売り方の問題」にばかりフォーカスされていますが、それは枝葉であり幹の部分は、「商品の問題」です。
現在の売れ筋商品は、もともと「新商品」でした。
つまり、売れ筋商品とは、新しい商品が多くの人に買われている状況であるということです。
この事実に多くの小売企業の経営者が理解できていません。
つまり、新商品を投入して多くの人に買われているという”演出”をするからお客さまが反応し買われます。
その結果、本当の売れ筋商品になるわけです。
要は売れ筋商品というのは、投入段階では売れていないのに売れている演出をして”本当に売れている商品”に仕上げているということです。
報道番組で差し込まれている企画の人気急上昇中の話題の商品は、売れている商品ではなく売れ筋商品前の新商品であることを多くの人が気づいていません。
売れ筋商品というのは、必ず「着火点」があります。
あなたも本当に売りたい商品があるなら、迷わず『売れていないのに売れている演出』に取り掛かる必要があります。
どのようにその演出をするのか?
ここにどれだけ知恵を絞れるかが売上拡大の大きな分かれ道です。
火のないところに煙は立ちません。