会社を潰さない方法
2つの指標から会社の健全性を図る方法を考察してみた
イノベーション誕生の仕組み
米国の株式市場では、2022年に入ってからの半年で20%も下落しており、コロナ不況に強いと言われてきたテック業界でも不況の波が押し寄せています。
アメリカは、日本とは異なりハイテク産業のスタートアップに莫大な資金が集まりやすく、そこに投資家やVC(ベンチャーキャピタル)、大手テック企業が群がることでイノベーションをけん引しています。
日本でも同じようなことは起きていますが、規模感に大きな違いがあります。
未上場のスタートアップ企業は、毎月の資金繰りをVCなどの出資に依存しており、その資金が枯渇すれば、会社を維持できなくなります。
それを回避するには、毎月の固定費の大半を占める人件費を減らすしかありません。
今、アメリカのテック界隈では、従業員を解雇して毎月の損益分岐点を下げる企業を増えており、レイオフ(一時解雇)の対象が16万人を超えている状況です。
実は、テック界隈に限った話ではなく、フードデリバリー、金融、不動産、ヘルスケア、教育の業界にまで波及しています。
つまり、アメリカは、企業に対してお金を流し込むことで太らせた上でイノベーションを起こし、その果実を先行の大手企業に買収させることでグローバル企業としての競争力を高めているということです。しかも、テック業界に限らず多くの業界でそれを実施しています。
日本でユニコーン企業やイノベーションが起きないのは、このような資金流動の仕組みがないからに他なりません。
しかし、昨今のアメリカの一時解雇される人が増えている問題は、この資金流動が起点となっています。
資金流動の入り口は、スタートアップ企業への投資です。
2つの指標
資金面からみたスタートアップ企業の健全性は、「バーンレート」と「ランウェイ」の2つの指標によって判断されています。
バーンレートとは、会社が毎月燃焼するキャッシュの量を示したもの。
計算式は、「月間の総コスト-月間売上」です。
例えば、毎月500万円のコスト(全経費)がかかっている会社の月間売上が400万円あれば、バーンレートは100万円になります。
ランウェイとは、会社がプールしている運転資金の合計額をバーンレートで割ったもの。
現在の資金繰りで会社が何ヶ月維持できるかがわかります。
例えば、バーンレートが100万円ならば、ランウェイは10ヶ月です。
俗に言う優良企業とは、ランウェイが長く資金繰りが安定している企業であり、当期純利益が4000万円の会社です。
つまり、バーンレートを改善すればランウェイ指標が向上するため、人件費の削減、他の設備、店舗、工場などにかかる経費の見直しが重要であり、全経費をどのように管理・削減するかが資金調達をする上で非常に重要であるということです。
会社を潰れる理由
会社運営の健全性を保つためには、
1.経費をどのように管理・削減するか?
2.資金繰りをどう管理するか?
2については、フリーキャッシュフロー計算書を作成して、自由に使えるお金を把握することが大切です。
理想的な形は、融資を受けることなく手持ちの現金で経費を管理・削減していきながら会社の内部留保をしっかりとマネージしていくことです。
規模の原理で資金を入れて会社を立ち上げ、大きくしていく風潮がありますが、日米ともに未上場で儲かっている企業の多くは、無借金で確実性の高い事業を一所懸命に取り組んでいます。
つまり、会社の倒産リスクを高めるのは、外部からの融資であり、フリーキャッシュフローの管理ができておらず、経費の削減意識が乏しいことが挙げられます。
結局、会社の社長がどのように「守りの数字管理」をするかで会社の生存期間が決まるということです。
あなたは、どのように会社を成長させるか?ではなく、どのように会社を潰さないか?を考えたことがありますか?
今一度、会社の成長と倒産を秤にかけて今できる資金管理の方法を探ってみてください。
現金をしっかりと残しておくことがいかに重要かが理解できるはずです。
投資や投機も会社の資産を増やしていく過程で重要なタスクですが、やはり現金に勝る資産はありません。