「狙ってバブル前に種をまく」研究シリーズ(2)

「狙ってバブル前に種をまく」研究シリーズ(2)

小麦は世界を救うのか?について考察してみた

「バブル」と聞くとほとんどの人が「金融バブル」をイメージするはずです。

実は、インドでは2014年頃から「食糧バブル」が到来するのでは?と危惧されていることをご存じでしたか?
人口の増加に伴う食糧ニーズはインドをはじめとする新興国から端を発して世界中に波及する危険性があります。
前回の記事でも指摘した通り食の領域には、不安定化と不確実性をはらみ多くの問題が生じます。
だからこそ、ビジネス的にはチャンスがあるのです。

インドは、中国・アメリカに次ぐ世界第三位の穀物生産国です。
インドは、灌漑(かんがい)といって農地に外部から人工的に水を供給する仕組みが確立したことで国内生産量を増やして大きく経済成長しつつあります。
農地へ供給する外部水源は、井戸であり、2014年時点で2700万ヶ所の井戸が掘られおり、国内食糧生産の15%が井戸の水源に頼った生産に依存しています。
2021年段階でのインド人口は、14億人弱であり、地下水源が干上がるのも時間の問題であることインドが抱える食糧問題です。
(ちなみに2063年には、インド人口が17億人弱に到達するという予測もあります)

経済成長を続け、いずれは世界一の経済大国になるであろうインドが直面している問題は、持続可能な食糧需給の仕組みです。

世界を見渡せば、1/4の家庭の子供が何も食べられない日があるといいます。
その半数近くの家庭が1種類の主食だけで生き延びており、健康に必要な栄養素の摂取がままらない状況です。
世界の子供人口が約21億人とした場合、最大で5億人の子供が何も食べられない日があるということです。

これを聞いてあなたはどう思いますか?

インドに話を戻すとインド人口の2/3は1日2ドル(約210円)未満で生活しています。(2014年時点)
つまり、9億人弱の人達は、恐らく健康に必要な栄養素の摂取がままならない食生活を送っていることが推測できます。

このような状況からインドがどのように食糧問題を解決していくのか…

それは発展途上国が先進国に変貌する際に必ず通る政治的意思決定にあります。

それは…

主役は小麦!?

水をほとんど使用しなくても生産できる穀物を栽培することです。
小麦をはじめとする穀物は、家畜の飼料や自動車燃料にも使われており、人々の生活に欠かせない原料です。

その穀物とは…「小麦」です。

世界人口増加に伴う食糧危機をリアルに感じ取っている中国は、すでに小麦の調達に一所懸命です。
小麦とは、今後の世界の台所を担うキーパーソンでもあります。

ちなみに世界最大の小麦輸出国は、2017年からロシアです。
プーチン大統領がいかに先見の明をもって世界情勢を注視しているかがご理解いただけると思います。

世界は、先進国の数よりも発展途上国の数のほうが遥かに多く、人類を支えるのは水供給の仕組みと小麦です。
前回の記事で指摘した通りカロリーを摂取するための「食の量」とより健康を意識した「食の質」とを区別した場合、世界の食事情をメインターゲットにした場合、「食の量」をベンチマークすれば市場は広範囲にわたります。
食の量、つまり空腹感を満たすには精製炭水化物が最適であり、それは白い食べ物を指します。代表的なものは、パン、パスタ、ラーメン、うどんです。
人口が増え国内の人々の空腹を満たすには、健康的な「食の質」を捨て腹もちのいい小麦を流通させる必要があるということです。

先進国である日本はどうでしょうか?
コンビニやスーパーに行けば小麦を使った食品で溢れかえっています。
もはや、日本は食の面からも真の先進国ではなく、途上国と同じ食糧レベルであり、食の量から食の質にシフトできずにいます。

他の途上国は!?

なぜ、食のついてこれほど熱弁を振るうかといえば、前回の記事の通り今後、経済発展を遂げていく

・[アジア]
2026年:インドネシア
2029年:ミャンマー
2032年:バングラディッシュ
2040年:インド
2044年:カンボジア
2045年:ラオス
2047年:パキスタン

・[中東・アフリカ]
2033年:アラブ首長国連邦
2034年:サウジアアラビア
2041年:エジプト
2044年:南アフリカ
2056年:エチオピア

の国々でも発展の過程で必ず「食の質」よりも「食の量」にフォーカスした食糧戦略を中央政府が選択するからです。

つまり、人類が向かう一つの道(シナリオ)は、

“健康に必要な栄養素の摂取がままならない食生活を送り、不健康へと突き進む”

ということです。

ここまでの話を聞いてあなたはどう思いますか?

新しくビジネスを立ち上げたい場合、グローバル視点で食の問題にフォーカスすると非常に興味深い事実にぶちあたります。

・小麦を上手に加工して空腹を満たすことができる安価な精製炭水化物食品を作るメーカー

あるいは、逆に

・健康に必要な栄養素の摂取を安価で実現する健康食品を作るメーカー

のような食品メーカーは、今後のグローバル市場で有望な企業属性です。

あなたならどのような新規事業ドメインを考案し、第二・第三の収益事業を作りたいですか?

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