会員制サービスの可能性

会員制サービスの可能性

二極化と多様化が同時に進む世界で生まれるニーズについて考察してみた

コロナ禍により様々な業界でニーズの変化が見て取れます。

そのひとつが「通院」です。

感染の懸念もあり、今まで定期的に通院していた人の通院頻度が減少しており、ある調査では医業収益の赤字の割合が65.4%(2019年)→74.4%(2022年)に増えている実態があります。

もともと病院経営は、赤字体質ですがコロナ禍により深刻な状況に陥っています。

主な原因は、

・緊急性が低い症状の患者が減少
・マスクの着用による風邪症状の減少
・外出の自粛による事故や怪我の減少

である。

加えて、

・年金に対する税率の引き上げ
・75歳以上の医療費負担の引き上げ(1割から2割に引き上げ)

などが追い打ちとなり、益々、通院に対するニーズが減少していきています。

このような背景や後継者不足の問題が重なりクリニックの廃業件数も過去最高のペースで増えています。

医療業界の変革

日本の医療体制は、全国で約8,300の病院施設と約10万件の一般クリニックによって支えられていますが救急外来の7割が軽症者です。

海外では、軽症患者の受診対応ができるサービスの需要が高まり、その役割を小売業者が担っています。

アメリカでは簡易クリニックがあり、医師はいないものの、フィジシャンアシスタント(PA)とナースプラクティショナーの有資格者が常駐しており、軽度の病気や怪我の治療、処方箋の発行、PCR検査、インフルエンザやB型肝炎などの予防接種、就職に必要な健康診断、妊娠検査、糖尿病や高血圧など慢性疾患の管理なども行っています。

日本での導入は制度の問題もあり難しいですが、薬剤師がその役割を担う形で年中無休のオンライン診療サービスは今後、確実に需要が伸びる分野です。

すでにAmazonは、2021年からは「Amazon Clinic(アマゾンクリニック)」をスタートさせており、にきび・湿疹・避妊・季節性アレルギー・ヘルペス・尿路感染症・高血圧・偏頭痛など20種類以上の診療メニューが設けて24時間対応のオンライン診療サービスを展開中。

診察する人材は、遠隔診療プラットフォーム業者と提携して集め、患者が料金表や診察項目を比較して受診先を決める「マッチングサイト」のような形になっています。

日本でもリクルートが得意とするリボン型ビジネスです。

日本でこのようなサービスが進んでくると、確実に個人の開業医も受診先として登録してくるはずです。

その個人の開業医とインセンティブ契約を締結した上で自社の健康食品や一般医薬品(OTJ)を紹介販売してもらう集客方法も考えられます。

今後増えるニーズ

日本でかかりつけ医がいる人は、4割程度で残りの6割決まった医師や医療機関を持たない層です。

持病がない20~30代の若い層ほどかかりつけが医不在となるため、オンライン診療を中心とした簡易クリニックで軽傷な症状の受診を機に患者リストを増やすことができるのがリモート診断のメリットです。

一方、既に持病を抱えつつ、経済的に余裕のある層は、年間50万円の会費を支払うだけで緊急時に24~48時間以内に受診の予約権利が得られるVIPサービスを展開しているアメリカの医師も存在しはじめて、医療も大衆化と差異化が分けられ、健康や寿命がお金で変える時代の到来を予感させます。

従来の医療は、治療の内容によって料金が算定される方式が採用されていますが、今後は、「医師の時間」に対して年会費を支払うサブスクリプションモデルが高額所得者向けのサービスとして一般化されていくはずです。

日本の開業医は、1日40人の通院患者を獲得することが損益分岐点であり非常に過酷な労働ともいえる中、富裕層や経営者を中心とした会員制クリニックでではじめています。

医療に限らず

・投資関連
・ホビー関連
・陰謀論者

などコアなマイノリティーに向けた高額な会員制サービスは、二極化と多様化が同時に進む世界で確実かつ”ひっそり”と伸びていく市場です。

あなたは、どのような会員制サービスを受けてみたいですか?そこから新しいビジネスが生まれるかもしれません。

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