スタートアップ商品を成功に導く秘訣
認知的不協和解消型の商品を求める消費者に向けてビジネスすることの重要性について考察してみた
新しい事業を立ち上げる時にハズしてはいけないポイントは、
伸びている市場に参入する
ことです。
「伸びている市場とは、
1.売り手と買い手が集まる場所
2.多くの買い手が”買っている”商品カテゴリ
です。
上記を前提に最もカンタンに売上を立てるための方法を解説します。
Amazonは今でも成長市場
物販ECにおける市場規模は、昨対ベースで8.6%(2022年)
この3~4割を占めるのがAmazonプラットフォームです。
つまり、Amazonでは今も尚、魅力的な商品と購買意欲が高い消費者が集まっていることを意味しています。
特殊なシャンプー市場
あなたが普段使っているシャンプーのブランドは、どのようなブランドですか?
・LUX
・メリット
・TSUBAKI
・BOTANIST
・BULK
などの大手メーカーのブランドをお使いの方が多いと思います。
ちなみに国内のシャンプー・コンディショナー市場の規模は、2400億円程度で5人に1人がシャンプー又はコンディショナーをネットを購入しています。
リテールでは、もちろん前述の有名ブランドが市場を寡占していますが、Amazonプラットフォームでは、次の2つの無名ブランドが売上の上位を獲得しています。
・Nile(売上シェア1位で21%のシェア)
・ALLNA(売上シェア5位で5.1%のシェア)
なぜ、このような下剋上的な現象を起きるのか?
ここにスタートアップが成功する唯一の”エッセンス”が隠れています。
それは…
そもそも、消費者は、少なくても4つのパターンに分類されていることをご存じですか?
1.情報処理型
∟品質や機能の違いに対してこだわりが大きい
∟ブランドに対してこだわりが大きい
このパターンは、
品質や機能の違いとブランドの両方を重要視する。
比較・検討を繰り返した末、購入する傾向があり、購入後はロイヤリティの高い顧客になる。
2.認知的不協和解消型
∟品質や機能の違いに対してこだわりが大きい
∟ブランドに対してこだわりは小さい
このパターンは、
品質や機能の違いを重要視する。よって、ブランドは関係ない。
但し、品質や機能が完全に差別化されたものが少ないため、どの商品も同じように見えてしまうことが多く、購買後も自分の選択が正しかったかどうか不安になったりする。
「買いたいけど、どれも同じに見えるからどれが欲しいかわからない」という自己の中での矛盾が発生しており、このような心理状態を「認知的不協和」といいます。
人間は認知的不協和を改善するような行動をとるため、自分が製品を購入した後も広告を見返したりすることもしばしばです。
3.バラエティシーキング型
∟品質や機能の違いに対してこだわりが小さい
∟ブランドに対してこだわりが大きい
このパターンは、
ブランドの違いを感じて、試し買いをする。リピートする。
飲料水やお菓子などが対象。
4.習慣型
∟品質や機能の違いに対してこだわりが小さい
∟ブランドに対してこだわりが小さい
このパターンは、
ブランドの違いをあまり感じず、低価格であれば習慣的にリピートする。
歯磨き粉や食品などが対象。
この消費者タイプは、アメリカの消費者行動研究者ヘンリー・アサエルによって提唱されたものです。
結論から先に申し上げると…
なぜ、Amazonプラットフォームで有名ブランドのシャンプーより無名メーカーのシャンプーが売れているのか?その理由は…
前述の新興メーカーのシャンプーは、「認知的不協和解消型」の商品だからです。
例えば、有名なダイエット(≒売れているダイエット商品)を使ったけどワタシを痩せなかった
という事実に対して、ワタシの体質にこの商品は合わなかっただけだ!
と考える消費者にとっては、ブランドよりも自分の体質や思考にあった品質や機能を重視するのは、ある意味当たり前です。
シャンプーという商品は、極めて「認知的不協和解消型」の商品であるため、ブランドにこだわる消費者よりも品質や機能を追及する消費者が多いということです。
つまり、スタートアップで売れる商品を開発するには…
「認知的不協和解消型」の商品を扱う必要があるということです。それができれば、ブランディングに大きな資金を投じる必要性はなく、短期間で売上を獲得することが可能です。
リサーチ法
では、どのように「認知的不協和解消型」の商品カテゴリを見つければいいのか?それは…
Amazon内における検索ボリューム(検索クエリ)を調査すればいいだけです。
シャンプーカテゴリの場合は、
1.「シャンプー」というビックキーワードは、「認知的不協和解消型」の商品カテゴリです。【検索ランキング:約10位】
2.「シャンプー 詰め替え」というミドルキーワードは、「習慣型」と「バラエティシーキング型」の商品カテゴリです。【検索ランキング:約500位】
3.「パンテーン」や「メリット」という指名検索は、「習慣型」の商品カテゴリです。【検索ランキング:約1500位】
4.「アミノ酸シャンプー」や「ノンシリコンシャンプー」」という具体化キーワードは、「情報処理型」の商品カテゴリです。【検索ランキング:約5000位】
つまり、ビックキーワードに注目すべき!ということです。
実はデザインが全て!?
ここまでお話をしてきて、重要なことはもうご理解いただけましたか?
スタートアップの商品は、絶対に「認知的不協和解消型」の商品カテゴリで開発して、広告はビックキーワードで出稿する
ということです。
でも…
機能や品質の違いを出すことは、中小零細企業はおろか大手企業でも難しいことです。
商品が売れる3つの要素は、「価格」「機能」「デザイン」ですが、
価格は、大手企業には叶いません。
機能は、実質的には大手企業と中小零細企業との差がありますが、消費者ベースではなかなか理解しえないものです。
残された差別化因子は、『デザイン』と『コトバ』です。
前述の新興メーカーは、既にブランディングされている他社の先行ブランドの「デザイン」を模倣し、販売開始時のトレンドキーワードである「オーガーニック」や「スカルプケア」を起点に商品開発を組み込み、認知的不協和が起きないようなパッケージ(全体設計)を施したのが売れ続けている理由です。
まとめ
商品を開発する時は、どうか次の2つを意識してみてください。
1.品質や機能で差別化する。但し、差別化できないことがほとんどなので”これを買えば間違いない”と思ってもらえるような魅せ方の工夫をする。
2.”このデザインは素敵”と思ってもらえるような五感に働きかけるパッケージを工夫する。パッケージとは、商品のデザインだけではありません。商品画像や商品説明など全てが一貫した雰囲気が漂っているということです。
もし、あなたがまだ商品を開発する前段であれば、
1.開発予定の商品が検索されるであろうビックキーワードを調べる
2.Amazonで販売する場合は、月間検索ボリュームが10000クエリ以上あれば開発する
3.デザインは、他の競合商品とは異なる異質なデザインを心がける
4.「買いたいけど、どれも同じに見えるからどれが欲しいかわからない」という認知的不協和が起きないような商品説明を作る
5.「1~4」を検証し、改善する
6.「1~5」を繰り返す
この6ステップを継続できれば、必ずスタートアップのビジネスは成功します。
あなたは、どのような商品でスタートアップを成功させたいですか?